西半分を占めるアトリエには2台の織機。2方に大きな窓が設けられ、孤独な創作の場にあたたかい陽だまりをつくります。南の庭には常緑樹を植えて往来からの視線と土埃を避け、西は冬の陽光を取り込むよう落葉樹が植えられました。天井を張らず、屋根裏の床と梁をそのまま見せたのは、コストダウンの工夫であるとともにのびのびとした天井高を確保するため。「全部木だから、どこでも好きに釘が打てるのがいいでしょ」と、渡辺さんは子どものような笑顔を見せます。天井や壁のあちこちには毛糸やカゴ類、手づくりのドライフラワーやモビールなど渡辺さんの好きなものがたくさんぶら下げられていて、ほっと心が和みます。
以前の住まいでは、天井の低い陽の当らない部屋で織っていたのだそう。「ここに移ってから、作品が変わった、色遣いが明るくなったって、みんなに言われたもの」…1時間でやっと3cm織り進むという緻密な生地に、みずからの心模様が織り込まれていきます。